2024/09/20(金)
空き家の3000万円控除が延長!その背景と適用条件について
相続した空き家をどうすれば良いか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に、売却を検討されている方は、税金対策が大きな課題となります。
そこで注目したいのが、相続した空き家を売却する際に最大3,000万円を控除できる「相続空き家の3,000万円特別控除」制度です。
この制度は、令和5年度の税制改正で令和9年12月31日までに延長され、さらに適用条件も見直されました。
本記事では、相続空き家の3,000万円特別控除の制度内容、改正内容、併用可能な控除について解説していきます。
□相続空き家の3,000万円特別控除とは?
「相続空き家の3,000万円特別控除」は、相続や遺贈で取得した空き家や土地を売却した際に、譲渡所得金額から最大3,000万円を控除できる特例です。
この制度を利用することで、相続による不動産売却時の税金負担を大幅に軽減することができます。
*概要
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続や遺贈で取得した空き家を売却する場合に、その売却益から最大3,000万円を控除できる制度です。
この制度は、空き家問題の解消と不動産の流通促進を目的として、平成28年4月1日から開始されました。
*適用条件
この制度の適用には、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件は以下の通りです。
・ 昭和56年5月31日以前に建築された一戸建てである
・ 相続開始の直前において被相続人以外に居住者がいなかった
・ 相続の開始から3年後の年末までに売却する
・ 空き家の売却代金が1億円以下である
・ 売却した空き家で他の特例を受けていない
・ 親子や配偶者、内縁関係の相手など、特定の関係者に売却していない
*制度の延長
令和5年度税制改正により、相続空き家の3,000万円特別控除の適用期限が令和9年12月31日まで延長されました。
これは、空き家問題が依然として深刻な状況であることを受け、制度の継続による更なる解消を目指した措置です。
*併用可能な控除
相続空き家の3,000万円特別控除は、他の控除制度と併用できる場合があります。
具体的には、「小規模宅地等の特例」や「マイホームを売ったときの特例」などがあります。
これらの制度を併用することで、より節税効果を高めることが可能です。
□令和5年度税制改正による見直し内容
令和5年度の税制改正では、相続空き家の3,000万円特別控除制度の見直しが行われました。
主な変更点は以下の通りです。
1: 適用期限の延長
前述の通り、適用期限が令和5年12月31日から令和9年12月31日まで延長されました。
これは、空き家問題の解消に向けた継続的な取り組みの一環として、制度の利用促進を図るための措置です。
2: 耐震リフォーム・除却要件の緩和
以前は、相続人が空き家を売却する前に耐震リフォームや除却を行う必要がありました。
しかし、令和5年度税制改正により、譲渡日の属する年の翌年2月15日までに、譲受側(購入者)が空き家の耐震リフォームや除却要件を満たせば良いことになりました。
この変更により、相続人が負担するコストや手続きの負担が軽減され、空き家の流通が促進されると期待されています。
3: 相続人が3人以上いる場合の控除額の減額
相続人が3人以上いる場合は、令和5年度税制改正前は、1人あたり3,000万円の控除が適用されていました。
しかし、改正後は、1人あたり2,000万円に引き下げられました。
この変更は、相続人が複数いる場合の控除額の公平性を図るための措置です。
□併用できる控除・特例
相続空き家の3,000万円特別控除と併用できる控除・特例には、以下のようなものがあります。
1: 小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、親などが居住用としていた宅地を相続した場合、330平方メートルを限度に80%の割合で、相続税の課税価格が減額される制度です。
この制度は、相続税の申告期限まで自宅を所有し、住み続けていることが基本ですが、一定の条件を満たすことで、相続後に空き家となった場合にも適用することができます。
2: マイホームを売ったときの特例(居住用不動産の3,000万円特別控除)
マイホームを売却した際の売却益に対して適用できる3,000万円の特別控除です。
これは、相続空き家の3,000万円特別控除と併用することができます。
ただし、両方を合わせても、3,000万円が限度となるので注意が必要です。
□まとめ
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続した空き家を売却する際に、税金対策として有効な制度です。
令和5年度税制改正により、適用期限が延長され、耐震リフォーム・除却要件が緩和されるなど、より利用しやすくなりました。
しかし、相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円に減額されるなど、注意点もいくつかあります。
また、他の控除制度との併用も可能ですので、相続した不動産の状況に合わせて、最適な方法を検討することが重要です。
浜松市周辺で相続不動産の売却をお考えの方は、当社にご相談ください。