2021/10/25(月)
相続から3年以内に売却すると節税になる?詳しくご紹介します!
「相続税の取得費加算の特例って何だろう」
「特例を利用したいけれど、どのような要件があるのかな」
このようにお悩みの方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、相続から3年以内に売却すると節税になることを詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
□相続税の取得費加算の特例とは?
不動産を相続される方も多くいらっしゃいますよね。
相続により、不動産を売却して譲渡所得が生じた場合に「譲渡所得税」がかかります。
相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに売却すると、不動産を相続した際にかかる譲渡所得税が節税になる特例があります。
この特例のことを「相続税の取得費加算」といいます。
不動産の売却代金と固定資産税等精算金の合計額である収入金額から取得費と譲渡費用を控除して譲渡所得を算出しますが、この取得費に相続税の一部を上乗せできます。
この特例の適用を受けることで、その分譲渡所得が減り、譲渡所得税を節税できます。
□特例を利用するための要件をご紹介!
1つ目に、売却日に係る期間的要件をご紹介します。
期間的要件には、2つの条件を満たすことが必要です。
まず、相続発生日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することです。
これは、相続発生日から譲渡日までの期間に制限があるということです。
不動産の売却にあたっては、すぐに買い手が見つかるわけではなく、売却完了までに一定の期間がかかります。
売却に向けて動き出すのが遅れてしまうと、相続開始の日から期限を経過してしまう恐れがあります。
期日を越してしまうと適用されない恐れがありますので、相続した不動産の売却はできるだけ早めに行うことをおすすめします。
個人差があるので一概には言えませんが、売却に向けて動き出してから売却完了まで6ヶ月程度を確保しておくと良いでしょう。
できるだけ早めに売却に向けて行動し、相続税の取得費加算の適用を受けられるようにしましょう。
次に、本特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することです。
これは、本特例の制度自体の有効期間に制限があるということです。
特例の延長の可能性もありますが、「相続発生後3年以内に売却すること」を意識しておくと良いでしょう。
2つ目に、相続した家屋に係る要件をご紹介します。
特例の対象となる家屋は以下に示すような特徴をもつ必要があります。
・相続開始直前において、被相続人(亡くなった人)の居住用として使われていたこと
・相続開始直前に、被相続人以外に居住していた者がいないこと
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・マンションなどの区分所有建物でないこと
・相続の時から譲渡の時までに居住したり、誰かに貸し付けたり、事業に使用していたりしないこと
これらの特徴に当てはまっているか確認してみましょう。
3つ目は、譲渡時の要件をご紹介します。
譲渡の際には以下に示す要件を満たす必要があります。
・譲渡価格(売却代金)が1億円以下であること
・譲渡時において家屋が現行の耐震基準に適合していること
以上でご紹介した要件を確認して、特例を受けられるかどうか検討してみましょう。
□所得税の確定申告をするまでに相続税額が確定しない場合は?
相続が生じて不動産を売却して利益が発生した際、売却した年の翌年の3月15日まで確定申告を行う必要があります。
しかし、所得税の確定申告をするまでに、相続税額が確定しない場合もありますよね。
そのような場合はどうすれば良いのか不安な方も多いと思いますので詳しく解説していきます。
まず、相続税の取得費加算の特例の適用を受けずに所得税の確定申告を行います。
税金を「仮」に、多めに支払うことになります。
その後、相続税の金額が確定したら、取得費加算の特例の適用を受けるため申告書の修正を行いましょう。
この手続きを「更正の請求」手続きといいます。
例として、11月に相続が生じて、12月には相続した不動産を売却したことを挙げます。
この場合、相続税の申告期限は翌年の9月ですが、確定申告を行う3月の時点では、相続税が確定しておらず、所得税の確定申告ができないことも考えられます。
このような際は、取得費加算の特例を利用せずに算出し、確定申告を行い納税を済ませましょう。
済ませたら、上記で説明したように、相続税が確定した後にもう一度申請を行い、内容を修正してもらうように手続きをする必要があります。
この手続きを行うことで、取得費加算の特例が適用され、控除された部分の税金が還付されます。
所得税の確定申告をするまでに相続税額が確定していないという方は、上記の流れに沿って申請してみましょう。
□まとめ
この記事では、相続から3年以内に売却すると節税になることを詳しく解説しました。
相続税の取得費加算の特例と、特例を受けるための要件をご理解いただけたかと思います。
不動産の売却をお考えの方で、何かご質問や疑問点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。