2019/04/30(火)
浜松で相続にお悩みの方へ!親名義の家に住み続けるとどうなるの?
親御さんから家を譲られた、もしくは親御さんが亡くなられて家を受け継ぐ形になった人の多くは、「これからこの家をどうしようか。」という悩みに直面します。
確かに、不動産の相続問題ってややこしそうなイメージがありますよね。
しかし、親名義の家に放置して住み続けてしまうと、問題が生じてしまう恐れがあるのをご存知ですか?
今回は、親名義の家に住み続けるとどうなるのか、そしてどのように対処すれば良いのかについて解説していきます。
□相続後、親名義の家に住み続けるとどうなる?
法律上、相続登記の期限は特に決められていないので、名義変更をしていないからといって、国から取り立てられるようなことはありません。
ただ、親から自分に名義変更をしておかなければ、様々な相続トラブルの原因となりえます。
例えば、親御さんが亡くなった後、親の名義のままで数年住み続けた後に、相続人の一人がお金に困って、家の売却をお願いするかもしれません。
その家の土地の価値が上がっていると、いっそう欲が出てきてしまうものです。
名義を変更して、完全に自分の持ち家にすることで、このような事態を防ぐことができます。
また、大きなデメリットとして、住宅を担保にすることや、自由に売買することはできないことが挙げられます。
その住宅は、当然親御さんあっての担保であり、固定資産税を払い続けていたとしても、名義変更の手続きを踏んでいなければ、借りている住宅にすぎません。
売買をするときに、相続登記がまだされていない状態だと、全相続人の同意を得なければならなくなります。
相続人は、家族構成の変化で増えていくケースもあるので、スムーズに進めたい方は相続登記を進めていきましょう。
□名義を変更する方法は?
では、名義を変更して登記を済ませるには、具体的にどうすればよいのでしょうか?
まずは、相続人同士で遺産分割協議が必要です。
即座に実家を売りたい方もいれば、しばらくは住み続けたい、保存しておきたい方もいるでしょう。
分割がまとまって、名義変更が可能になれば、登記をしていきます。
不動産の名義を変更する上で、かかる費用は、登録免許税だけでも不動産価格の0.45%かかります。
□親名義の家にも相続税はかかる?
親の生前からその家に住んでいる場合、多くの人は「そのまま住んでいるから相続財産ではない」と誤解しがちです。
しかし、実際には名義が親である限り、相続が発生した際には相続税が課税されるのです。
*法定相続人の把握
相続発生時には、戸籍謄本を基に法定相続人を明らかにすることが重要です。
戸籍謄本には親子関係や婚姻関係が記載されており、法定相続人の確定に不可欠です。
これにより、正確な基礎控除額を計算できます。
*遺産分割協議の重要性
遺産分割協議は、相続財産の所有者を決定するために不可欠です。
配偶者と子供だけの場合は、この2人で財産を分割します。
相続人が多い場合は、それに応じて分割します。
この協議により、財産と相続人の数が明確になり、法に基づいて適切に遺産を分割できます。
*土地と建物の評価方法
家の相続税計算においては、土地と建物(家屋)を別々に評価する必要があります。
建物は固定資産税評価証明書を確認することで、その評価額を把握できます。
土地は「倍率方式」と「路線価方式」で評価され、これに基づいて相続財産の合計額が算出されます。
*自宅以外の財産の計算
親名義の家だけでなく、別荘や絵画、株式、車など、被相続人が所有していたすべてが相続財産です。
これらの資産を合計し、借入等の負債を控除した後、相続税率を適用して相続税を計算します。
*基礎控除の適用
基礎控除は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。
例えば、配偶者と子供2人の場合、基礎控除は4,800万円となります。
相続財産の合計がこの基礎控除以下の場合、相続税は発生しません。
相続税の計算は複雑ですが、適切な知識を持つことで、適切な対応が可能となります。
親名義の家にも相続税がかかることを理解し、遺産分割協議や財産評価のプロセスをしっかりと把握することが重要です。
□相続した実家に住むために必要な書類
相続によって親名義の実家を引き継ぐ際、多くの書類が必要となります。
これらの書類は相続手続きを円滑に進めるための鍵となり、適切な準備が重要です。
以下では、必要な書類とその取得方法、そして相続登記のプロセスを詳しくご説明します。
1:登記事項証明書(登記簿謄本)の取得
法務局で取得できる登記事項証明書は、不動産の所有権や抵当権など、不動産の法的状態を確認するために不可欠です。
この書類は、相続登記の申請時に必要となります。
2:相続登記申請書の準備
相続登記を行うためには、法務局提供の相続登記申請書に記入し提出する必要があります。
この書類は、相続による不動産の所有権移転を法的に認めるためのものです。
3:戸籍謄本と除票の取得
相続人と被相続人の戸籍謄本は、市区町村の役所で取得できます。
また、被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)も必要となります。
これらの書類は、相続人と被相続人の関係を明確にするために重要です。
4:印鑑証明書と住民票の取得
相続人全員の印鑑証明書も市区町村の役所で取得します。
また、印鑑証明書に加え、不動産を相続する相続人の住民票も必要です。
これらの書類は、相続登記における本人確認のために用いられます。
5:固定資産評価証明書の取得
市区町村の役所では、不動産の固定資産評価証明書も取得できます。
この証明書は、不動産の価値を正確に把握するために必要です。
6:遺産分割協議書の準備
遺産分割協議書または遺言書がある場合、これも法務局に提出する必要があります。
この書類により、不動産の相続に関する合意内容が正式に記録されます。
相続登記の手続きは複雑であり、準備が不十分だと遅延や誤りが生じることがあります。
特に、戸籍謄本や印鑑証明書は相続人全員分が必要であり、郵送で取得する場合、追加の料金が発生することも忘れずに留意してください。
正確な手続きを行い、相続をスムーズに進めるためには、これらの書類を事前にしっかりと準備しましょう。
□親名義の家をスムーズに相続するための生前対策
相続は、多くの人にとって避けられない重要なプロセスです。
特に親名義の家を相続する際には、トラブルを回避し、スムーズな手続きを進めるための生前対策が重要です。
ここでは、生前対策の具体的な方法として、遺言書の作成、家族信託の活用、生前贈与の方法を紹介します。
1:遺言書の作成
遺言書は、家の相続におけるトラブルを防ぐための重要なツールです。
遺言書に家の相続に関する明確な指示があれば、名義変更が行われていない場合でも、他の相続人が権利を主張するのを防止できます。
遺言書には、相続する家の具体的な位置や条件などを詳細に記載することが重要です。
また、遺言書は公証役場での公正証書として作成することで、その効力を強化できます。
2:家族信託の活用
家族信託は、信頼できる家族に財産を託し、その運用や管理、処分を任せる制度です。
特に「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」を利用すると、家の所有者が亡くなった後に相続する人、さらにその次に相続する人を指定することが可能です。
これにより、相続時のトラブルを回避し、財産の長期的な管理や継承を計画的に行えます。
ただし、家族信託は法律的な専門知識が必要なため、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
3:生前贈与
生前贈与は、相続発生前に財産を贈与することで、相続時のトラブルや税負担を軽減する方法です。
特に、相続時精算課税制度を利用することで、生前贈与にかかる贈与税を免除し、相続財産に含められます。
この制度では、2,500万円までの生前贈与が贈与税の対象外となり、相続発生時に相続財産に加算されます。
これにより、相続税の負担を軽減しつつ、財産の移転を円滑に進められます。
ただし、生前贈与には細かな規定があるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
以上のように、親名義の家をスムーズに相続するためには、遺言書の作成、家族信託の活用、生前贈与などの生前対策を計画的に行うことが重要です。
これらの対策を通じて、相続時のトラブルを未然に防ぎ、財産の円滑な移転を実現しましょう。
□まとめ
親御さんから家を相続した方に向けて、親名義の家に住み続けるとどうなるのか、について解説してきました。
なるべく早いうちに登記を済ませることで、トラブルを未然に回避できます。
相続した家の売却をお考えの際は、是非一度当社にご相談ください。