2021/01/01(金)
共有名義の不動産を売却するときにかかる税金はどのように計算する?
「共有名義の不動産を売却したいが、どういった税金がかかるのだろうか」
このような疑問をお持ちの方はいませんか。
不動産売却に馴染みがなく、税金のことだと更に不明点が多いでしょう。
しかし、言葉の意味を理解すれば、あまり難しくありません。
今回は、共有名義不動産を売却した際に発生する税金について紹介します。
□発生する税金について
不動産売却には、譲渡所得税と呼ばれる税金が発生します。
そして、この譲渡所得税は共有不動産かどうかに関わらず、「譲渡所得」つまり「儲かった分」から発生します。
要するに、売却した金額にかかるのではなく、そこからいくつかの費用を差し引いて出た金額に税率を乗じて算出されます。
それでは、その譲渡所得の計算方法を見ましょう。
課税される譲渡所得金額は(譲渡価格−取得費−譲渡費用−特別控除)で算出されます。
それぞれの言葉の意味を紹介します。
まず、譲渡価格とは、文字通り売却した金額を指します。
これは売買契約書に記載されているため、売買契約書を見て正確な値を把握しましょう。
次に、取得費とは、購入するときにかかった金額を指します。
不動産を購入するときは、その不動産の代金そのものだけを支払うのではありません。
不動産の代金以外にも不動産会社への仲介手数料や印紙代、登録免許税、専門家への報酬などがあります。
そして、この取得費の計算で大事なことは「減価償却費」を差し引くことです。
減価償却とは、不動産の購入にかかった費用を一度に必要経費としないで、数年に分けて計上する方法のことです。
この減価償却費は、建物の作りや用途によって計算方法が変わるため、自分の家に合わせて計算しましょう。
続いて、譲渡費用とは、譲渡で発生する金額を指します。
購入時と同様に、売却時にも不動産会社への仲介手数料や印紙代が発生します。
最後に、特別控除を差し引きます。
特別控除に聞き馴染みがない方は多いでしょう。
しかし、特別控除を利用すれば、一定の条件を満たす不動産の売却において売却益から一定の金額を差し引けます。
マイホームを売却するときには3000万円特別控除を知っておくと良いでしょう。
3000万円特別控除の説明はこの後にします。
以上が、譲渡所得金額の計算方法と言葉の説明です。
□税率について
続いては、税率について紹介します。
使用される税率は、持分の所有年数によって変わり、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。
5年を境にして変わるため、所有する不動産と照らし合わせて確認しましょう。
共有名義の不動産を所有して5年以内に売却した場合は、短期譲渡所得の扱いになり、所得税率は30パーセント、住民税率は9パーセントで計算されます。
一方、共有名義の不動産を所有して5年を超えてから売却した場合は、長期譲渡所得の扱いになり、所得税率は15パーセント、住民税率は5パーセントで計算されます。
5年を過ぎれば税率は下がるため、共有名義の不動産は5年を超えてから売却した方が良いでしょう。
また、確定申告でも注意が必要です。
共有名義の不動産の場合、まとめて申告はできません。
共有者が各々で確定申告する必要があるため注意しましょう。
確定申告は、2月から3月に行います。
行う方法は、「税務署に直接行く」「郵送で申告」「インターネットで申告」の3つから選べます。
書類の書き方はネットで紹介されているため、手元に書類を用意して確認しましょう。
□3000万円特別控除について
最後は、先ほど出てきた「3000万円特別控除」について紹介します。
この特例を利用すると、譲渡所得から3000万円を控除できます。
これは居住用財産、つまりマイホームに適用でき、所有期間は問われません。
そのため、条件を満たせばいつでも利用できます。
条件の中には、過去に特例を受けたか、不動産を建てた年、同居人の有無などがあります。
売却を検討している方は調べましょう。
*注意点について
この特例において、いくつかの点に気をつける必要があるため、状況に分けて紹介します。
1つ目は、空き家にした後に譲渡する場合です。
この控除は「居住用財産」に適用されます。
そのため、もし老人ホームが生活の場になり、家を空き家状態にした場合、たとえ家をいつでも生活できる状態にしていても、認められません。
また、住まなくなってから3年経ってから手放す場合も利用できません。
2つ目は、相続で所有者になった場合です。
夫婦の片方が亡くなり、かつその家の名義が亡くなった方だった場合、この特例は利用できません。
名義変更を行ってから利用しましょう。
また、所有期間は相続による取得日を引き継ぐため、長期の税率を利用できるでしょう。
□まとめ
今回は、共有名義不動産の売却に関わる税金について紹介しました。
税金は、売却金額ではなく、そこからいくつかの費用を差し引いた金額にかかります。
また、持分の所有年数によって税率は変わるため、5年を超えてから行うと良いでしょう。
支払う税金を抑えるためには特例を利用すると良いでしょう。